
皆さんこんにちは、hiroYamaDの「overseablog」です。
マレーシアは多民族の国として知られています。
穏やかでのんびり屋さんのAさん、商売上手で早口なBさん、おしゃべり好きで哲学的なCさん。
本来なら別々の家に住んでいそうなこの3人が、なぜか一つ屋根の下で暮らしている。
しかも、お互いの夕飯をつまみ食いしたり、勝手にお互いの言葉を混ぜて喋ったりしている。
これが、マレーシアという国のリアルな姿です。
マレーシアの人口は約3,300万人。
その内訳は、大きく分けて「マレー系」「中華系」「インド系」、そしてボルネオ島などの「先住民族」で構成されています。
彼らはただ「そこにいる」だけじゃありません。
それぞれの強烈な個性を放ちながら、絶妙な距離感で共存しているのです。
それぞれのキャラクターを知ると、マレーシアの旅が100倍面白くなります。
多民族でバランスが良いマレーシア by「overseablog」
この家の大家さん「マレー系(約70%)」
まず、人口の過半数を占めるのがマレー系の人々(先住民族含むブミプトラ)。
彼らの特徴を一言で言うなら、「南国特有のハッピー&リラックス」です。
イスラム教徒である彼らの女性は、「ヒジャブ」と呼ばれるスカーフで髪を覆い、カラフルな伝統衣装「バジュ・クルン」を身にまとっています。
これがまた、優雅で美しい!
彼らの性格は、基本的に「穏やか」で「シャイ」。
そして、魔法の言葉「Tidak Apa(ティダ・アパ)」の使い手です。
これは「気にしない、大丈夫、なんとかなるさ」という意味。
バスが遅れても「Tidak Apa」、注文を間違えられても「Tidak Apa」。
この精神が、マレーシア全体の「なんとなく許し合える空気感」を作っています。
彼らと仲良くなるコツは、とにかく笑顔で挨拶すること。
シャイですが、一度打ち解けると家族のように温かく接してくれます。
甘いものが大好きで、激甘ミルクティー「テタリ」を飲みながら、のんびりとお喋りするのが彼らのゴールデンタイムです。
エネルギッシュな商売人「中華系(約23%)」
次に多いのが、中華系の人々。 彼らのエリア(チャイナタウンやコピティアムと呼ばれる喫茶店)に行くと、空気が一変します。
「早い!安い!美味い!」 彼らの生活リズムは、とってもスピーディーで合理的。
食堂のおばちゃんは、マシンガンのような広東語や福建語でオーダーを叫び、おじちゃんたちは朝から円卓を囲んで、大きな声で政治やビジネスの話に花を咲かせています。
彼らはマレーシア経済のエンジン的な存在。勤勉で、教育熱心で、そして何より「食への執着」が凄まじい! 「ご飯食べた?(吃飽没?)」が挨拶代わりになるほど、人生の中心に食があります。
マレー系の「のんびり」とは対照的な「せっかち」さもありますが、その活気がマレーシアにダイナミズムを与えています。
ちなみに、彼らは旧正月(チャイニーズニューイヤー)になると、信じられない量の爆竹を鳴らして祝います。
この時ばかりは、他の民族も「うるさいなぁ(笑)」と言いつつ、一緒になってお祝いムードを楽しみます。
彩りとスパイスの魔術師「インド系(約7%)」
そして、この国に鮮やかな彩りと深いコクを与えているのが、インド系の人々。
多くは南インドからの移民をルーツに持ちます。
彼らの魅力は、なんといっても「表現力の豊かさ」と「コントラスト」です。
リトル・インディアを歩けば、大音量のボリウッド音楽が流れ、ジャスミンの花の香りが漂い、極彩色のサリーを纏った女性たちが行き交います。
彼らはとてもフレンドリーで、議論好き。
また、彼らは医者や弁護士といった専門職が多い一方で、超絶技巧の「ロティ・チャナイ(クレープのようなパン)」を焼く職人でもあります。
彼らが作るカレー文化はマレーシア全土に浸透していて、今やマレー系も中華系も、朝ごはんにロティとカレーを食べるのが当たり前になっています。
文化が混ざり合った「プラナカン」
この3大民族に加えて、忘れてはならないのが「プラナカン(ババ・ニョニャ)」という存在です。
数百年前にマレーシアに渡ってきた中華系移民の男性が、現地のマレー系女性と結婚し、生まれた子孫たち。
彼らは、「中華の伝統」と「マレーの習慣」をミックスさせた独自の文化を持っています。
生活様式は中華風だけど、食べる料理はスパイシーなマレー風。
衣装はマレー風だけど、柄は中華風。 この「いいとこ取り」の文化は、建築や陶器、刺繍などの芸術分野でも花開き、マレーシア(特にマラッカやペナン島)を象徴する美しい遺産となっています。
「多民族が混ざると、こんなに新しい美しさが生まれるんだ」と感動すること間違いなしです。
「違い」があるから、面白い。
マレーシアを旅していると、ふと面白い光景に出くわします。
屋台のテーブルで、 手を使って器用にカレーご飯を食べるマレー系のお兄さん、 お箸で麺をすする中華系のおじさん、 スプーンでスープを飲むインド系の学生が、 同じ空間でサッカー中継を見て盛り上がっている。
彼らは、お互いの宗教や習慣が違うことを「当たり前のこと」として受け入れています。 「君は豚肉を食べないんだね、OK。
じゃあ、こっちの店はハラル(イスラム教徒向け)だから一緒に行こう」 「君はお酒を飲みたいんだね、OK。
じゃあ、僕はコーラで付き合うよ」
そんな風に、違いを排除するのではなく、違いを前提にして「どうやったら一緒に楽しめるか」を考える作法が、この国には根付いています。
もちろん、政治的な課題や摩擦が全くないわけではありません。
でも、庶民レベルでの「ま、細かいことはいいじゃん(Tidak Apa)」という緩やかな繋がりは、分断が進む今の世界において、とても尊くて、心地よいものに見えます。
まとめ:人間観察の聖地へようこそ
マレーシアの面白さは、観光地巡りよりも、「人間観察」にあります。
- 早朝の公園で太極拳をする中華系のお年寄り。
- その横を、ジョギングして通り過ぎるヒジャブ姿のマレー系女性。
- さらにその横のベンチで、新聞を読んでいるインド系のおじいちゃん。
この「ごちゃ混ぜ」の風景こそが、マレーシア最大のエンターテインメントです。
次の旅では、ぜひ彼らの会話に耳を傾け、彼らの食べるものを食べ、彼らの笑顔に触れてみてください。
「みんな違って、みんな適当で、みんないい」 そんなマレーシアの空気感に触れたら、きっとあなたの肩の力も、スッと抜けていくはずですよ。
多民族のワンダーランド、マレーシアがあなたを待っています!

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