
皆さんこんにちは、hiroYamaDの「overseablog」です。
今回は、マレーシアのチャイニーズニューイヤーに欠かせない「ライオンダンス」の話
チャイニーズニューイヤー(春節)が近づくと、マレーシアの街は赤と金のデコレーションで華やかに染まり、お祭りムードが一気に高まります。
そして、この時期になるとショッピングモールや商店街、時には住宅地にまで雄叫びをあげて現れるのが、あの“ライオン”たち。
そう、ライオンダンス(中国語では「舞狮」)です!
でも、ちょっと待って。なんで中国のお正月に“ライオン”が踊るの?しかも、マレーシアで?——そんな素朴な疑問から、今回はライオンダンスの歴史と、今のマレーシアでどんなふうに受け継がれているのかを、ちょっとユルめに掘り下げてみましょう!
マレーシアのライオンダンスについて by「overseablog」
そもそもライオンダンスって何?
ライオンダンスは、中国の伝統的な舞踊芸能のひとつで、日本と同じく「獅子舞」とも呼ばれます。
名前の通り、獅子(ライオン)の姿を模した大きな頭と布の体を身にまとったダンサーが、音楽に合わせてコミカルに、時にはアクロバティックに踊るパフォーマンスです。
もともとの起源は諸説あるものの、最もポピュラーなのは「悪霊払い」の儀式に由来する説。
古代中国では、獅子が邪気を追い払い、福を呼ぶ神聖な存在とされていたため、お正月のような大きな節目には、獅子に登場してもらって「悪いものを追い出して、新しい年に幸運を呼び込もう!」というわけです。
どうしてマレーシアに?
さて、このライオンダンス、どうして海の向こうのマレーシアにまで広がったのでしょうか?
実はその理由はシンプル。マレーシアには19世紀ごろから、多くの中国系移民(特に福建・広東・客家などの出身)が定住していて、彼らが中国の文化や信仰、そしてお正月の風習をそのまま持ち込んだのです。
マレーシアでは中国系住民が人口の20%以上を占めており、春節は国全体でも祝日。
つまり、チャイニーズニューイヤーは「中国だけのお祭り」ではなく、マレーシアでも堂々と国民的イベント”のひとつなんです!
今のライオンダンスはめちゃ進化してる!
昔は「太鼓ドンドン、獅子がぴょんぴょん」という素朴なイメージだったかもしれませんが、今のライオンダンスは一味違います。
特にマレーシアでは、ライオンダンスは「競技」としても発展していて、なんと国際大会まで開催されているんです!しかも、舞台の上に鉄柱を並べて、その上を獅子が飛び跳ねる「高桿獅子舞(High Pole Lion Dance)」は、見る者を息を飲ませるダイナミックさ。
ライオンというより、まるで忍者かパルクール選手!?
各チームは数ヶ月にわたる厳しい練習を経て、音楽、振付、アクロバット、チームワークのすべてを極めて大会に挑みます。
マレーシアの有名チームには、クアラルンプールやセランゴールを拠点とする「嶺南体育会」などがあり、世界大会でもしょっちゅう優勝しています。
今はどこで見られるの?
春節シーズンになると、マレーシア各地のショッピングモールや企業のオフィス前、さらには住宅街まで、あちこちでライオンダンスが繰り広げられます。
とくに商売繁盛を願って店先で「採青(ツァイチン)」と呼ばれるパフォーマンスが行われることが多いです。
「採青」とは、獅子が店先の高い場所に吊された“青菜”や“みかん(財運の象徴!)”をくわえて食べる仕草をする演技のことで、「財をもたらす」という意味があります。
演技がうまくいけば、その年の商売は大繁盛間違いなし!というゲン担ぎのイベントなんですね。

ハイポールを使わないライオンダンスも行われているよ。

文化を越えて愛される伝統芸
面白いのは、このライオンダンスが今では中国系以外の人たちにも愛されていること。
マレー系やインド系の市民たちもショーを観に来て一緒に盛り上がったり、SNSに動画を投稿して「Happy CNY!」なんてコメントしたり。
多民族国家マレーシアならではの、ハートウォーミングな風景がここにあります。
そして最近では、若い世代がSNSやYouTubeでライオンダンスの練習風景や大会パフォーマンスを発信したり、女性のライオンダンサーが増えたりと、ますます多様性と創造性に富んだ進化を遂げています。
あのとぼけた「大頭仏」は誰?なぜいるの?
ライオンダンスで、妙に陽気な、顔がデカくてツルツル頭のおじさん(の仮面)をかぶった人が出てくること、ありますよね?

あのキャラ、実は「大頭仏(ダートーファット/Big Head Buddha)」と呼ばれる存在で、しっかりとした役割があるらしいんです。
彼の役割は…通訳&お笑い担当!
- まず第一に、ライオンと観客の“つなぎ役”なんです。ライオンはしゃべれませんから、大頭仏がジェスチャーや動きで「今、ライオンが何をしようとしてるのか」を観客に伝える、いわば“通訳”のような存在。
- さらに、ちょっと笑える動きをして場を和ませたり、観客の子どもと遊んだりして、会場のムードメーカーにもなります。
元々は「仏教の守護キャラ」?
大頭仏のモデルは、弥勒菩薩(みろくぼさつ)という説もあり、「未来の幸福をもたらす笑顔の神様」とも言われます。
だから、ニコニコした巨大な顔で登場するのは縁起がいいってわけですね。
時にはライオンを「調教」する役
伝統的な演目の中には、「暴れる獅子を大頭仏がなだめて従わせる」というストーリー性のあるパフォーマンスもあります。
ちょっとコント風だったりして、お客さんにも大人気!
まとめ
ライオンダンスは、ただの「見世物」じゃありません。
そこには、先祖から受け継がれた文化への敬意、共同体をつなぐ力、そして未来へと受け継ごうという若者たちの情熱が詰まっているんです。
もしマレーシアに春節の時期に行く機会があれば、ぜひ街のどこかでライオンたちが舞う姿を探してみてください。
きっとその獅子の勇壮なステップと、観客の笑顔に、心があたたまるはずです。
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